塾講師を辞めたときのトラブル

20代のころに、同じ市内にある塾の求人広告を新聞で見て面接に行き、そこで塾講師として採用されました。塾長は退職した元中学の国語の先生でした。

そこで中学生のクラスを受け持って、英語と国語を教えました。1年近く勤めたのですが、仕事自体は子供が好きだし教えるのも好きで、やりがいもあって良かったのですけれども、塾長とどうも合いませんでした。

その塾長は他の塾講師のみんなに嫌われていて、いつも講師の人たちどうしで塾長の批判をしていました。もと教師なので弁はたつのですが、お金に細かく、かなりケチで、講師への給料も出し惜しみしました。生徒からもらう月謝の半分も講師に渡さない感じでした。また、交通費もケチっていて、電車を使わないで来られる講師の人がしょっちゅう呼びつけられて授業をやらされていました。交通費を出さないですむからです。その講師の人はかなり怒っていて不満を言っていました。

口では理想論を言うのですが、やっていることが全く違っていて、お金にばかりこだわるし、服装のこととか、いろいろと細かいことにうるさくて、しょっちゅう嫌みを言ったりされるので、講師の人たちはみんな塾長を嫌がっていました。生徒についても、勉強ができない生徒のことは平気で切り捨てるようなことを言うし、えこひいきが激しく、教育方針がかなり違うと感じました。私はどんな生徒も切り捨てることなく、一人一人の個性を大事にしながら教えていきたいという考えだったし、厳しい指導はできなかったのですが、塾長はともかく勉強ができる生徒を優遇して厳しく授業をやってほしいという要望ばかりでした。

精神的に塾長からのプレッシャーが大きくてストレスがあるにも関わらず、給料がとても安いので、私だけでなく、講師の人たちは皆塾長に対しては不満を持っていました。ずっとやっていてもあまりいいことはないな、と思ったので、辞めることにしました。私は自分でも自宅でちょっとした塾をやっていたし、この塾で勤めていても全く割に合わないので、辞めたほうがいいと思ったのです。仲良くなった生徒たちと別れるのは寂しかったのですが。

それで、塾長には、結婚が決まったから、ということにして、辞めることを伝えました。その理由だと、すんなり辞められるかと思ったからです。塾長も「おめでたなら仕方ないですね。」と言って、そこはうまくいったのですが、最後にとんでもないことをされてしまいました。

最後の給料を、私の代わりの塾講師を募集するための新聞広告の広告代と相殺して、給料は渡さないと言われたのです。新聞広告費の請求書を渡され、給料は払えないと言われたので、私はあっけにとられました。 そのことを家で妹に言ったところ、妹のほうが私よりも怒ってしまい、塾長に話をつけに行こうと言われました。そのまま泣き寝入りしたのでは、他の講師の人たちにも迷惑がかかるだろうと言うのです。私はとりあえず労働基準局にも電話をして相談しました。すると、労働基準局の人は、「求人広告費をあなたが負担しなければならないといういわれはないから、ちゃんと給料を請求してください。」と言ってくれました。何かあったらまた相談するように言ってくれたので、だいぶ気持ちが楽になり、塾長に給料を支払ってくれるように手紙を書きました。

すると、塾長が給料を払うから取りに来るようにと連絡してきました。さすがに自分がやっていることが違法だと分かっているから、後ろめたかったのでしょう。けれども、もう塾長に会うのはまっぴらだったので、とても嫌だったのですが、妹が一緒に行ってくれるというので塾まで行きました。最初は妹が塾長と話してくれたのですが、塾長はどうしても妹に給料は渡さないと言ったらしく、仕方なく私が取りに行きました。塾長はいろいろ嫌みを言っていましたが、ともかく向こうのほうに非があるのは確かだったので、何とか給料を渡してくれました。けれども非常に嫌な思いをして、たったこれだけのバイト代のためにこんな思いをしないといけないとは、と、辛かったです。